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「四魂の窓」の誕生ストーリー
一霊四魂との出会い
私たちが開発してきた技術の核心である「四魂の窓」は、まさに人の個性を見抜く道具となります。これは、日本古来の「魂」の考え方に基づいて、人の本質を見抜く「四魂の窓」の法則として開発されたものなのです。この「四魂の窓」に熟達することで人の個性、つまり魂に迫ることができるのです。この「四魂の窓」の法則は、現代心理学の成果である「パーソナリティの五因子論」との関連を踏まえつつも、それを超えた「一霊四魂」理論にのっとっています。 どのような経緯で四魂の窓ができたのか、その誕生秘話をお話ししたいと思います。
米国で日本古来のココロの考え方と遭遇する
四魂の窓は、古の昔から日本に伝わるココロの構造に基礎を置いています。このココロの構造こそが、日本書紀(720年)にまでさかのぼると考えられる「一霊四魂」という考え方です。
私が日本古来のココロの考え方に惹かれたのは、なんと留学先の米国の大学院でパーソナリティ理論の講義を受けていた、初夏の昼下がりのことでした。校舎の中では、ユダヤ人の大柄な女性教授が、大きな「わし鼻」を左手で触りながら、最新のパーソナリティの考え方である「因子論」を私たち生徒に講義していました。これは後に五因子論と呼ばれるもので、人の個性は、外向性、親和性、誠実性(良心)、感情的安定性、知性という五つの性格特性の組み合わせから成り立っているというものです。
教授の話を聞きながら、ふと教室の窓を見ると、緑いっぱいに生い茂った木々の間から、透き通るような青い空が見えました。すると小学校の帰りに、田んぼに積まれた藁の上で寝そべって空を眺めていた光景が、私の脳裏に浮かび上がり、次に祖母の家に私がいる場面が見えてきました。米国での授業中に、小さい頃からの私の「妄想癖」が出てきたのです。
私の大好きな日本髪を結った祖母の声が聞こえてきました。祖母の家に立ち寄ることが、子どものころの私の日課でした。そのときの情景が浮かんできたのです。
「よう来たな。ヒカルに何かおいしいものを食べさせてやって」。 私と祖母は掘りごたつのあるテーブルを囲んでいました。お菓子を食べているときに、祖母は、なんともいえない優しい目で、私の顔を見ながら言いました。「お前は無鉄砲で、ほんまに『勇』が強いさかいなあ。強いだけやとあかんで、温かい人にならんとな」
この祖母の声を聴いた瞬間、閃いたのです。
「あ、これは一霊四魂のことだ!」。子どもの頃に祖母の家で教わった、日本に古くから伝わる「一霊四魂」のかすかな記憶が甦ってきました。私は、これが最先端のパーソナリティの因子理論に似ているだけでなく、それ以上の理論だということに気づいたのです。(詳細は、中経出版刊の「人の心が手に取るように見えてくる」を参照)それ以来20年間、私の中に暖め研究し、いつの日か世に出したいと思っていたのです。
人間発達プロジェクトチームの結成
2000年の12月、ついに私は、日本古来の個性(魂)の心理学である「一霊四魂」を世に出そうと、大学の教員時代の教え子で、現在、米国人のための生活カウンセラーをやり、大学で情報工学を教えている安生裕治に電話し、次に、大学の教員時代からの友人であるキャリアカウンセリングの大学教授である榎本和生に相談し、プロジェクトチームがスタートしました。後に、ビジネスコーチの廣岡徹が参加し、それぞれ専門分野で互いに役割を果たしてきたのです。
このプロジェクトチームが8年間、何度もミーティングを重ね、ときには大峯山に籠って合宿をし取り組んできたことは、この心の構造を実際に使えるものにすることであり、実用的な解釈と応用技術を開発してきました。文献にある一霊四魂だけでは、現実の私たちの人生に役立たせるには、あまりにも情報が少な過ぎたからです。
私たちの個性に影響を与えている魂とは、「勇」「親」「愛」「智」の四つの機能から成り立っています。人は誰でもその四つの魂の機能を全部持っていて、それぞれの強さが異なっているのです。そのうち最も強い「魂」を知ることができたら、その人の個性の核がわかります。
相手のココロを知る方法を開発
私たちは当初、一霊四魂に関する数少ない文献を読み、あまりに少ない情報だけを頼りに議論していました。何度も合宿を重ね、その概要を明らかにし、五年をかけて千名を超える人たちに調査をしました。そこで得られたデータを因子分析という統計学的な方法で分析し、ついに100問の診断テストを作りあげました。それはとても嬉しく、誇らしいことでした。
でも、すぐにそのテストの欠点に気がついてしまいました。人は100問を答えるのに、30分もかかってしまうのです。それをやるには決心と忍耐が必要です。実際に、私の子どもたちに「100問やってほしい」と言うと、「えー、こんなにたくさんあるのー? こっちは遊びで忙しいんだから」と拒否されてしまいました。
これにはがっかりしました。でも子どもたちの言い分に道理がありました。日常で人の本質を知るために、会う人ごとに「100問テストを受けてほしい」とは、とても言えません。相手と話しながらすぐに本質を見抜かなければ、実用的ではないのです。
100問テストをやらなくても、一瞬に相手の本質である魂がわかる方法はないだろうか。私たちは頭を抱えてしまいました。常にそのことが頭から離れませんでした。そして、ついに一対比較法という心理学の手法で18問テストを作り上げたのです。これならたった5分でできるし、画期的なものだと思いました。
それでも仕事で会う人ごとに、「18問テストをやってほしい」とは、とても言えませんでした。もちろん頼めば、義理で18問くらいはやってくれたと思いますが。私たちには、ふだんと同じ接し方をしている中で人の本質を見抜くことが、最終的な目標なのです。そうでなければ意味がない。18問という偉業?の興奮は、すぐに冷めてしまいました。
2つの問いで自分を見分ける
ところが、不思議なことに、私たちはいつの間にかテストをしなくても、人と少し話をするだけで、あるいは人を見ただけで、人の魂を診断できるようになっていました。「あの経営者は『勇』が強いね」とか、「彼女は、『愛』と『親』が強くて一緒にいると癒されるよね」というふうにです。
「待てよ。テストをしないのに、どうしてわかるのだろう!」 これは超能力でも職人芸でもなく、何かを手がかりに判断しているのだと直感しました。
多くの人たちに、100問テストや18問テスト、さらには私たちの主宰する天命・天職を探求する研修道場を繰り返すうちに、私たちは診断結果とその人たちの何らかの特徴を捉え、無意識にそれらを結びつけていたのです。ただ、それをうまく言葉で表現することは、まだできませんでした。
ある秋の夜、研修道場が終わったあと、参加者たちと共に京都の民家を改造した居酒屋で飲んでいました。そして人のココロを観る話をしているときに、突然、ある「2つの問い」が浮かんできました。直感的に「これだ!」と思いました。
はやる心を抑え、私は、その「2つの問い」をその場にいる人たちに教え、皆でお互いの診断をしてみました。見事なほどに、全員がその2つの質問を使って共通の診断ができたのです。
私は歓喜しました。
東京に戻ってからも、多くの人たちにそれを試しました。しかも、その質問を相手に投げかける必要さえありませんでした。あまりにも簡単な質問なので、その答えを相手から「感じとる」ことができたのです。これが、あなたもすぐできるようになる「四魂の窓」と名づけたられた方法なのです。
「それって、100問が18問になって、2問になっただけじゃないの」と冷めた声が聞こえてきそうです。しかしそうではありません。この「100→2」への量的変化は、質的な変化をもたらしました。これまでは、診断テストという形で、診断結果を集計し、分析せざるを得なかったからです。
ところがその2問の答えは人から感じ取ることができ、いちいち相手に質問に答えてもらう必要もありません。その人とふだんと同じように話しているさなかに、診断することができるのです。しかも相手の「魂」を感じ取るために、相手の話を真剣に聴くようになったのです。人の話を聴かないと言われ続けた私が、「出口さん、最近よく聴いてくれますね」と言われる副産物までついてきたのです。
ものごとはシンプルであればあるほど、美しい輝きを放つ。単純で美しく、しかも効果が抜群であれば、それは私たちにとって真実に近いといえます。
最近、私たちは人の持つ目の特徴にも勇親愛智が現われていて、それを見分けることができることがわかってきました。それは、別の機会にお話ししたいと思います。